開業20周年を迎えて
    松浦鉄道株式会社
     代表取締役社長  辻 昌宏

 国や地域の大勢の関係者の皆様のご支援のお陰で、松浦鉄道は平成20年4月に開業20周年を迎えることができました。皆様には衷心より厚くお礼を申し上げます。


 顧みますと、特定地方交通線に指定されていた国鉄松浦線の存続か廃止かの論議が昭和60年当時から地域において為されていました。国鉄が松浦線を運営していた昭和60年度はその1年間だけで41億円に上る巨額の単年度営業赤字を出していたため、廃止の方向が強かった時期もあったようです。しかし、一方では厳しいけれどやりようによっては第三セクター鉄道で存続できるのではという試算も出されました。
 そこで私もその一人であります地元経済界有志のラッキー自動車、西肥自動車、辻産業は「残したい、是非残すべき」と思い、経営参加を表明し、当時の関係者のご理解を得て、全国でも類稀な民間主導型の第三セクター鉄道として発足することができ、今日に至っております。


 最初の取締役会で「民間企業的な積極的で効率的な経営を目指す」との方針を掲げ、以来大幅な列車本数増・新駅増による利便性の向上等による利用客増・収入増とコスト削減策等による費用減を図ってきました。お陰様で地域の皆様に「MR」の愛称で親しまれ多くの方々にご利用いただき、輸送密度1,000人日キロ前後の極めて厳しい経営環境にもかかわらず、20年後の現在でも僅かですが累積黒字となっております。


 開業以後の5年間は、国の運営費欠損補助制度の下に、老朽化が進んでいたレール等の線路施設を一定のレベルまで改善する基盤整備に努め、6年目以降は単年度経常黒字に転換したものの、更なるモータリゼーション・少子高齢化及び施設の老朽化の進展によって14年目以降単年度経常赤字に転じるというように、経営的に曲折を経てきております。本来は利便性向上と施設整備の相乗効果によって、早期黒字化が可能だったと思いますが、諸般の事情により車両更新が3年ほど遅れたこと等により、遺憾ながら経常赤字がまだ続いております。


 現在は車両更新・レール重量化等の施設整備計画と収支計画から成る「松浦鉄道経営改善計画」及び「松浦鉄道再生計画」を策定し、国と関係自治体等のご理解とご支援を得て、施設と収支の改善を計画的に推進しているところです。


 国におかれましては、近年特に厳しさを募らせている地方鉄道の状況を考慮され、上下分離への方向付けをなされております。松浦鉄道は今までと同様に、最大限の自助努力を尽くして、地域の公共交通機関として、安全・正確・便利な、鉄道輸送サービスを提供するという使命を果たし続けて参る所存でございますので、今後とも皆様のご理解ご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。